『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人』を読んだ

どういう本か

『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人』という本を読みました。

著者はKEIという男性です。

僕はクレイジージャーニーという番組で初めてKEIさんのことを知りました。

クレイジージャーニーはタイトルのとおり、常識では計れない『ヤバい旅人(ひと)』をピックアップする番組で、危険なスラムに取材しにいくジャーナリストや、ビルや山から飛びまくるスカイダイバーなどが登場しますが、アウトローの方が出るのは珍しかったので印象に残りました。

そのいわばアウトローのKEIさんは12年と8ヶ月もの間アメリカの刑務所に収容されていたようです。

彼はFBIのおとり捜査にはまり、ハワイにて覚醒剤密輸の現行犯で逮捕されてしまったのです。

アメリカの刑務所はレベル1からレベル5まであり、レベル5に近づくにつれどんどん囚人が凶悪になっていきます。

その中でKEIさんは最初レベル4の刑務所に収監されたようです。

しかし暴力沙汰などで結局レベル5に移送され、さまざまな人種が徒党を組むなかKEIさんはたった一人の日本人として孤軍奮闘することとなります。

 メキシコ系ギャングのチカーノに入る

アメリカの刑務所に収監された日本人は少しはいるようですが、やはり数は圧倒的に少ないみたいですね。

KEIさん自身もアメリカの刑務所内で数名日本人(日系人含む)を見かけたようですが、深く関わることはなかったようです。

ただ徒党を組む組まないにかかわらず、アメリカの刑務所では「ナメられたらどちらにせよ終わり」だそうで、メキシコ系ギャングの一つ『チカーノ』のビッグホーミー(いわばボス)にまでも突っかかりました。

どうやらビッグホーミーであるウェロが食堂でいつも座る席にKEIさんが知らずに座ってしまい、「どけてくれないか」と言われたにもかかわらずKEIさんが成り行き上「お前が誰であろうと関係ねえ」とつっぱってしまったんです。

しかしその頑な態度が逆に好印象だったのか、KEIさんはウェロ氏によってチカーノに入りなよと誘われ、原則メキシコ人しかなれないチカーノの一員になってしまうのです。

これはKEIさん本人も本に書いていますが奇跡です。

出所後、現在

KEIさんは12年8ヶ月の刑期を終えたあと、日本に帰ります。

ただ出所したあとも、日本に帰るまでアメリカでひと悶着あったようですが。

チカーノから家族愛や仲間との絆を学び、我慢することをおぼえたと言うKEIさんは現在、チカーノファッションの店を開き、うつ病や暴力などで悩んでいる方に対するカウンセリング活動を行っているそうです。

感想

時代の影響もありますが、KEIさんと僕とでは生い立ちがはまるで違います。

僕は親に叩かれたこともないし、あったとしても学生時代教師や同級生に小突かれた程度です。

しかしKEIさんの本を読んでいると(結局『プリズンルール』と『KEI チカーノになった日本人』も読んだ)、日常に理不尽な暴力がひそんでいます。

僕の場合、暴力をふるいそうな人には近付かないし、人一倍早く危険を察知してとっとと逃げてしまいます。

ただ、理不尽な暴力から環境的にも性格的にも逃げられない状況に陥れば、KEIさんのようにヤクザになりはせずとも、世の中ひいては人間に対する深い怒りが生まれるのは当然なのかもしれません。

日本だとナメられても案外大丈夫だが……

アメリカの刑務所においては、ナメられたらオカマになるか殺されるか悲惨な目に遭うんでしょうけど、日本においてはナメられても案外平気です。ただし超えてはいけない一線を守らないとやはり悲惨なことになりますが。

実際僕はけっこうナメられてきました。

まあ自分はアホだったのでナメられてることすらよくわかっていないという状況が多々あったのですが、いま思い返してみるとよくいじめられなかったなあと感じます。

いじめられなかったのは環境が良かったのもあるでしょう。

一方で、むかし肉体労働をしたときは、『自分より下だと認定したらどんどん増長する』人がちらほらいました。

でもそれって日常に暴力や否定があったからなんじゃないかなと思います。

ナメられて酷い目に遭ったとかそういう場面を目撃したとかそういうので『ナメられたら終わりだ』という価値観が形成されたんじゃなかろうか。

最初はナメてきても放っておいたのですが(ナメられても実害がなければけっこう平気)、金を借りても返さないとかそういうことが起こってくるとさすがに本気で怒りました。

日本だとよっぽど悪い人でない限りこちらが怒ると「おっ、こいつやりすぎたら怒るんだ」となり、うまくいけばそれからナメたことはしてこないし、どうしようもない奴でも2・3日はおとなしくなります。

ただこれが刑務所といった閉鎖的な空間であればそうもいかないんでしょう。

だいたい外の世界なら口八丁手八丁でどうにもならなかったとき『逃げる』という選択ができますが、刑務所では出来ません。

もう完全にやり込められるか発狂するまで独房で我慢するかですよね。

だからアメリカの囚人はからだを鍛えるんでしょうね。じゃないと悲惨なことになりますし。僕なんか入って5秒でオカマ役にされてしまうでしょう。

アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人

アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人